music&art
<< September 2014 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>
<< やるせない気持ちを、あえて曲のテーマに phatmans after school | main | Drop'sがキングレコードからのリリースを発表 >>
クリエイターが繋がる界隈を作っていきたい FOLKS 岩井郁人


昨年9月にGalileo Galileiを脱退して半年。岩井郁人の新プロジェクトFOLKSがいよいよ本格的に始動した。3月末に1stミニアルバム『Take off』を配信限定でリリース、4月6日にはSound Lab moleでリリースライブも行われる。その作品の濃さと完成度の高さを知れば、彼がどれほど創作意欲に溢れ、かつ冷静なクリエイターかということがわかるはず。FOLKSのこと、楽曲制作のこと、Galileo Galileiのこと。これまで語られなかったさまざまについて、初ロング・インタビュー。

手札をコントロールしながら、ひとつを狙いたい

――まず、FOLKSとはどういうバンドなのか教えてください。

「FOLKSっていうのは “人々”とか “集団”という意味なんですけど。メンバーは全員同じ恵庭の出身で年も近い幼なじみと、僕の兄の5人です。僕らには夢があって、メンバー全員がクリエイターとして個性を放って、いろいろなジャンルのクリエイターが繋がる界隈を作っていきたいんです。なので、そういう願いを込めて付けました。パートもまだ今回のライブ用で固定じゃないから、未知ではあるんですけど。小林禄与(E.G.&Per.)はおしゃれで華があるんで、バンドのビジュアル面をサポートしてくれたらいいなと思って。兄の岩井豪利(Vo.&&E.G.)は詞も曲も書けるから楽曲の幅が広がるし、Oasisのノエルとかストーン・ローゼズのイアンみたいにバンドを支えるドシンとした存在になってくれれば、と。高橋正嗣(Syn.&Prog.)はムードメーカーで、彼がいることによってバンドの空気が和みます。ガリレオで一緒にやってた野口(一雅/B.)は頼りがいがでてきました。僕がバンドのリハとかでコーチみたいな立場になったときに、野口の役割はでかくて。僕の気持ちもメンバーの気持ちもわかるから、繋ぎ役になってくれる。僕はバンドを率いていて、今回のライブではヴォーカルとアコースティックギターを担当します」

――『Take off』聴かせてもらいましたが、すごく良かったです。DTMで制作したそうだけど、宅録って言われないとわからないくらい音に厚みや深みがあります。

「そこは越えられてるかなと思いますね。納得するまで、妥協しないで作ったので。宅録っぽさがしないのは、たぶん編集の仕方だと思います。僕は小さなベッドルームで最低限の機材で曲作りしてるんですけど、どんな部屋でもちゃんと編集すれば、イメージする音にできるはずで。スピーカーから聴いたときに歌がドラムよりも近くに感じられたほうがメジャーっぽいとか、より奥に感じられたほうが北欧っぽいとか。そういう音の距離とか質感が曲の雰囲気に繋がるんだと思うんです。それを感覚で捉えるのがリスナーで、知識を得て作ったものを感覚的に感じさせるのがアーティストなんじゃないかなって。まぁ、ただ好きなんですよ、音作りが」

――それは音源から、ものすごく伝わってきます。

「その代わり、歌詞に苦労しますけどね。ぜんぜん納得いかないんですよ。言葉からイマジネーションが広がるような歌詞を書きたくて。そこは、けっこう(尾崎)雄貴に影響されてますね。独特の言葉使うじゃないですか。彼はそれを使ったうえで物語を作れるし、歌詞見たら、そこに世界があるってわかる。僕はそこまで行けないですけど、そのシーンにある情景をうまく描いたような歌詞を書きたいんです。あと、生々しさみたいなものはちょっと散りばめたい」

――『GAGA』の「夢が現実を患って」なんてドキッとする。なかなか出てこないフレーズだと思いますよ。

「現実的な問題で、どうしても夢に生きていくのが難しくなることをよく想像するんですね。そのイメージを表現できる言葉がないかと探していて、やっとあったっていう。あと、あえてサビにすごくわかりやすい言葉をもってきたりもします」

――岩井くんはすごくクリエイティブな面と、プロデューサー的目線の両方を持ってますよね。

「そうですね。ガリレオにいたときは雄貴がアイデアを投げてくれて、僕がそれをコントロールしながら一緒に構築してくっていうやり方が多かったんです。そういうふうにやってきたことで、すごく勉強になったというか。でも、広く浅くみたいにならないようにしたいと思っていて。なんかこれしかできない!みたいに個性が確立されてる人にも憧れるんですけど。そういう人にも実は手札がたくさんあって、自分の中でわかったうえでコントロールしてひとつの方向を狙ってるんだと思いたいし、そこを目指してます」

すべての楽器が細胞のひとつとなって成立する音楽

――『Take off 』はインタールード的な役割の、短いけど印象的な曲ですね。アナログレコードのノイズをサンプリングしてる?

「パチパチってノイズはテープノイズです。僕はジェイムス・ブレイクが大好きで。ちょっとクラシカルで高級感のあるコードを、常人離れしたテクニックと新しい手法で表現してるのが彼だと思うんですけど、僕はそれ出来ないんで。そういう進行をシンセでやって、それをアナログっぽい音にするとおもしろいかなと思って。自分でできる程度のシンセのフレーズを弾いて録音したものを、何度も何度もテープに通してテープノイズをたくさん入れて、ザラザラとした質感を出しています。本当は1曲にするつもりだったんですけど、どうしても納得できるものにならなかったので、インタールード的になりました」

――『Replica』はセンチメンタルでノスタルジックなミディアム・チューンで、とてもキャッチーです。

「これは最近のJ-ROCKではほとんど使われない、6って付くコードをあえて使って作っていて。昔のジャズやフォークで効果的に使われていたコードなんですけど、下手したら古くさくなる。でもボンベイ(・バイシクル・クラブ)が3年くらい前に出したフォーク色の強いアルバムで、めちゃくちゃそういうコード使っていて。使い方がうまいから、いい感じにセンチメンタルな雰囲気とか異国っぽい雰囲気が出てるんです。なので、僕もそういうコードをあえて使って現代的なものと組み合わせて、スタイリッシュな曲にしたいと思って作りました」

――どの時代の音楽が好きかで、グッとくるツボってぜんぜん違うと思うんです。岩井くんの作る曲はかなりグッとくるんだけど、それは私が60年代と80年代の音楽がものすごく好きだからなのかなって。

「僕もそうです。6のコードって60年代とかに多いんですよ。80年代のキラキラしてて多幸感のある感じみたいなのも大好きだし、それを組み合わせたい。80年代の曲ってギター1本、ベース1本じゃ絶対できないし、鍵盤1台でもできないんです。クラシックと一緒で、すべての楽器がその音楽を作ってる細胞のひとつひとつになってる。90年代のUKロックは単純なスリーコードが多くて、構造がシンプルなんです。そういう意味では取り入れやすいから、日本で流行したのかもしれませんね」

――わかるような気がします。『FOREVER』はまさに80s色がかなり強い。ディスコっぽさもあって、自然と身体が動いてしまう。

「はい、これは80s聴きまくって作りました。最近のJ-ROCKではディスコっぽさを取り入れてかっこいい音楽やってる人ってあまりいないんで。これは武器になるかなと思っていて。ライブでも煽るんじゃなくて、曲でどうしてものっちゃうみたいな感じを出したいんです。あとさっきの話と同じで、すべての楽器が細胞の一部になっていて、何が抜けても成り立たない曲でもあって。例えばギターがハイハットの役割をしてるとか、ベースがスネアの役割をしてるとか、所々いろんなところで、いろんな楽器がいろんな役割をしてる曲ですね」

――『River』はお兄さんの曲で、歌ってるのもお兄さんなんですよね。この曲だけ90年代的というか、グランジに影響を受けている?

「そうです、完全にグランジ。僕の頭の中にはないものなんですけど、うまくお互いの特徴を組み合わせて幅を出せればいいかな、と。バックで流してるコーラスにUKロックであまり使わないコードを作ったりとか。サビはめっちゃUKなんだけど、他の部分にちょっと違うジャンルの匂いを感じさせたりとか工夫してます。いちばんアレンジに苦労しました」

――『GAGA』は最初に聴いたときから大好きな曲です。このリバーブ感がたまらなくいい。

「個人的にも好きです。どこの国の音楽なんだろう?みたいな、無国籍で幻想的で不思議な空気を出したくて。僕、ゲーム音楽がすごく好きなんですね。ゲーム音楽作ってる人ってしっかり勉強して研究して音楽を構築してるはずだから、おもしろい音楽が多くて。特に『クロノトリガー』のBGMが大好きなんです。その音楽にがっつり影響を受けてますね」

――そうなんですね、私はFoalsとかFriendly Firesを感じました。

「それもあります。そういうインディーロックと『クロノトリガー』の両方。RPGの舞台って、世界のどこでもないんです。でも『ドラクエ』だったらフランスのモンサンミッシェルみたいな城が出てきて、ヨーロッパの空気があったり。でもその世界に東洋の国も出てきたり。ゲームによって全然世界も曲も違うのに、現実の世界と通じる部分があるって、すげぇおもしろいなと思っていて。ワールドミュージックが詰まってるっていうか。でもどこの国の音楽でもないというか。そこからいろんなものを吸収できるんですよね」

雄貴と形としては分かれたけど、見てるところは一緒

――FOLKSの楽曲は、どれも濃いですね。岩井くんの表現欲求が溢れ出ているよう。

「そうですね。兄貴がふたりもいるんで、なかなか前に出られないっていうところが小さい頃からあったんで。リーダーになりたいってことじゃなくて、基本的に自分で回していきたいタイプなんですね。頭の中にいろんなイメージがあって、それを形にしたい。でも上の兄は芸術性を含んだ音楽を作ってたり、絵が上手かったり、自分の至らなさを痛感することも多くて。ガリレオに入った当初も、そういうところがありました。音楽的知識がないこととか人間的な思慮の浅さみたいなことを、いろんな大人の人と接したり、雄貴と話してるときに感じて。すごい核心みたいなことをズバッと言われると、やっぱり適わないと思ってしまう」

――本当は劣等感を感じる必要なんてないのに、常に近くに突出した人がいたっていうことのような気がします。人が想像するより特殊な環境で育ってきたんじゃないかと。

「そうかもしれない。劣等感を感じることは多いんですけど、自分のビジョンはすごくはっきりしてるんで、なくならないんです。そういうところが子どもの頃からあった。だから、打たれ強いと思います。絶対に妥協できないし諦めない。そんなふうでいられたのは、出会った人みんなに愛があったのも大きいですね。兄も雄貴も本当に音楽を愛してるし、僕に対しても愛情がある。雄貴と初めていろんな話をしたとき、どんな人よりも人間っぽいなと思ったんです。自分の意見を言って、相手の意見を聞くのが好き。音楽の話だけじゃなくて、ゲームの話でも映画の話でも朝までできる。なぜおもしろかったのかとかすごく掘り下げるし、それがどうしてそうなってるのかってことも絶対に調べるし。僕も見習おうと思いました。ユーモアもあるし、ものすごく物知りだし、あんまり外に出ないけど内側にはどこまでも世界が広がっていて。それがガリレオのすべてに繋がってる気がします。ガリレオハウスで2年間一緒に暮らして、毎日いろんな話をしたことが自分の血肉になってるって、本当に感じるんで」

――その体験も糧にして、自立しようと?

「はい。一緒にガリレオやってるときは、お互いがお互いに寄りかかってる部分もけっこうあったんです。僕には確実にアイデア力と作詞の力が不足してた。雄貴はアイデアをどんどん投げるけど、それを構築する工程で僕に委ねてる部分があった。精神的にも寄りかかってた部分があったと思う。こうして形としてはふたつに分かれたけど、今も見てるところは一緒なんです。音楽が大好きだから、もっと音にこだわったおもしろい音楽を作りたいし、聴きたい。例えば60年代〜80年代後半までの日本のポップスは世界の音楽に対するアンテナが鋭くて、ルーツミュージックも現代的な音楽も必死に取り入れて、新しいものを生み出さそうとしていた。でも今はそういう背景の感じられない、同じような音階の同じような録音方法の音楽が多いような気がして。海外ではいろんな音楽の歴史を知ったうえで曲作り、レコーディングの仕方、すべてにこだわったオリジナリティのある音楽を作り続けてるシーンがある。僕はそのことにガリレオメンバーとして活動している中で気づいて、共に変わっていったんですね。世界のいろんな音楽を聴いて、どんどん広い視点を持てるようになったし、いろんなものが出てくるようになった。あの家で2年間毎日話し続けてきたことって絶対純粋だし、必要不可欠なことだから。それを伝えていきたい。そのためにもそれぞれがバンドとしてもっと強くなって、音楽に少しでもいい影響をもたらしたい。それに尽きますね」

――実際、ガリレオに影響を受けた音楽をやっている若者も出てきてますよね。

「そうなんです、うれしいですね。でも、僕が知ってるほとんどの人は、ひとりで宅録やってるみたいなんですね。そういう人たちがそれぞれ音楽で繋がっていけたら、すごくいいなと思う。ガリレオとFOLKSのふたつになったことで別の方向から攻めていって、もっと仲間を増やしていきたいです」

――そういう岩井くんのエネルギーの詰まったライブが、目前に控えていますね。

「はい、緊張してます(笑)。今、何度もリハーサルやってるんですけど、まずはメンバーが僕の作った曲を身体に沁み込ませてほしいなと思っていて。兄なんて練習してるあいだに曲の聴こえ方が180度変わったって言ってくれて、とても嬉しかったです。耳が変わってきたのと、身体に16ビートの細かいリズムが沁みこんできたからだと思うんですけど。そういう意味でも、ライブはめちゃくちゃ大事。でもライブ練習してるときがいちばん制作したいって思うんですよ。改善点がたくさん見つかるし。まずはライブ用にアレンジした曲が音源を越えることを目標にして、次に繋げようと思ってます。あと、今はVibirthというサイトだけで配信リリースされてる『Take off』をCDにして、ライブ会場限定の物販として販売することになりました。ぜひ足を運んでもらえたら嬉しいです」


FOLKS(フォークス)
北海道恵庭市出身の岩井郁人、岩井豪利、野口一雅、小林禄与、高橋正嗣によるインディー・ロックバンド。’13年3月29日、1stミニアルバム『Take off』を配信限定でリリース。4月6日にはSound Lab moleでリリースライブを行う。




*L→R* 高橋正嗣(たかはし・まさつぐ)、小林禄与(こばやし・よしとも)、岩井郁人、野口一雅、岩井豪利(いわい・かつとし)


Self 1st MiniAlbum 『Take off』

¥1,000
01.Take off
02.Replica(Take off Mix)
03.FOREVER
04.River
05.GAGA(Take off Mix)

Sound Lab mole Presents FOLKS『Take off』Release LIVE

2013.4.6(Sat)
OPEN 17:30 START 18:30
会場:Sound Lab mole (札幌市中央区南3条西2丁目 ニコービルB1)
料金:adv.¥2,000(1ドリンク¥500別途)
出演:FOLKS / Scenarioart(滋賀)/ The coridras / Push one's luck/ Qrion(O.A)
問:Sound Lab mole 011-207-5101
LAWSON TICKET L-14676
※高校生以下学生証提示で¥1000+D代¥200キャッシュバック
※整理番号付

特設ページ http://f-o-l-k-s.com/

Vibirth http://www.vibirth.com/artist_detail/FOLKS

Soundcloud https://soundcloud.com/#folk-s