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Galileo Galilei 「最高に純粋なただのロックキッズだった頃の俺らに、いいって言ってもらえる曲を作りたかった」


前作『ALARMS』に引き続き、POP ETCのクリストファー・チュウとの共同プロデュースによるミニアルバム『See More Glass』をリリースしたGalileo Galilei。久しぶりに尾崎雄貴が全曲を作詞・作曲し、バンドの初期を思わせる眩いばかりにフレッシュな楽曲が並ぶ。それが日和見でないことは、随所に散りばめられた揺るぎない“美学”から強い決意となって伝わってくる。作品ごとに目まぐるしく変化していくのは、彼らがそのときいちばん純粋な方向を見極めてしまうからだろう。その潔癖さは、サリンジャーに登場する“シーモア・グラース”と、ちょうどぴったり重なる。

――6月に札幌でTHE NOVEMBERSとの対バンを観せてもらったとき、アレンジや音色に70年代の海外フォークロックの匂いを感じて。今回はそういう方向のミニアルバムになるのかなと思ってたんです。でも実際聴いたら、ものすごくフレッシュな作品で驚きました。


尾崎雄貴(Vo.&G.)「むかしに戻ったというよりは“選んだ”っていう感じなんです。前までは自分たちの理想の音楽性に手を伸ばすことで精いっぱいだったけど、今は70年代のオールドなフレーズを突き詰めて行ったりすることもできる。プレイヤーから邦ロックを全部消して、聴くものを選ぶっていうことを3年間ずっとやってきて。自分たちが欲しかった匂い、雰囲気、切なさだったりを自然と出せるようになったと思うんですよ。だけどそれは一般のリスナーの人には伝わりにくいんだっていうのをすごい感じて。“あ、そうなんだな”って。だから今回、それまで出来てた50曲くらいを一旦封印して、何よりも邦ロックを聴いてる人たちに対して、俺らの名前をもう一回知れ渡らせたいと思ったんです。俺ら『パレード』以降、ある意味表には出ていってなかったから、自分たちなりにやってやろうじゃないかっていう気になったというか。まずは邦ロックをもう一回取り入れ直そうって。また邦ロックを聴くところから始めて」

――なるほど。そういう強い意志があったんですね。

雄貴「今、邦ロックを聴き始めたっていうのは単純にさっきの理由もあるし、もうひとつ普通に個人的にそれぞれ、自分たちが何故高校生の頃とかにその音楽に反応したのかっていうのを、もう一回立ち戻って考え直してみたかったっていうのもあって。『See More Glass』ってアルバムは今まででいちばんフレッシュだと思うし、たぶん純粋だと思う。今言ったことと、もしかしたら矛盾してるかも知れないけど。何も考えないで作ったから」

――うん、すごく光を感じるし、純粋な作品だと思います。

雄貴「今回、制作でまったく悩みとかネガティブな感情がなかったんです。もうこっちの方向でしっかり突き詰めていこうと決めて。どんなにいい曲を作ってもちゃんと伝わらないと意味がないから。今の一般のリスナーの人たちだったり、ガリレオの今までのファン、これからのファンにまずは歌として、邦ロックとして日本語でちゃんと伝わるものを作ろうって。きっかけは、けっこう思いつきだったんです。で、50曲を封印して、そこから1週間くらい、ひとりでわんわんスタジオにこもって弾き語りで作ったんだけど。メンバーにどう?って聴かせて。最初はミニアルバム出すことも決まってなくて、いきなり俺、ミニアルバム出そうって言い出して。でも、それがすごく良かったっていうか、アッという間に録り終わったし。今までガリレオって制作の段階で悩んだり途中でだめになっちゃったりしたことがけっこうあって。思い出としても作品としても影を持ったものになってたと思うんだけど、今回は良くも悪くも影がないと思うんですよ」

――ふたりは雄貴くんが書き上げてきた楽曲を聴いて、どんな印象を受けましたか?

佐孝仁司(B.)「あ、なるほどなって。もともと雄貴から俺らのルーツじゃないけど、高校生のとき好きだった曲とか聴かせてもらったりしてたから。ひとりで曲書きたいって言われたときも、じゃあやってみたら?って。デモ自体は7曲以上あったんです、9曲くらいかな。その中でいいものをみんなで選んで、アレンジしていった感じです。その前に作った50曲も今のタイミングじゃないなっていうのがみんなに共通してあっただけで。ボツになったわけじゃないし。いつか活かすと思います。クリスとセッションした曲もあるし」

雄貴「これ今出したらヤバいな、たぶん俺ら消えちまうなっていう感じの曲(笑)。日本はバンドがいいと思うものを突き詰めれば突き詰めるほど逆の方向に行く。正直言うとやりづらいんですよ。それがわかったから、誰かにその考えを押し付ける気はもうないし。俺らの中だけで燃え上がる怒りとして持っていようと思って。俺らはポップで楽しくて切なくて、音によって情景が浮かんだり、胸のどっかがグッと掴まれるようなメロディだとかコードワークだとか、そういうのが好きだから。そういういい曲をただやろうって。そのいい曲の基準はちょうど俺らが高校生で、くるりもピロウズもバンプも好きだし。でもレディオヘッドもめっちゃかっけぇなと思ってた、最高に純粋なただのロックキッズだった頃のそいつらにいいって言ってもらえる曲なんじゃないのかなと思って。俺らは自分たちに似た奴らを探して、そいつらに曲を聴いてもらって、わかるだろ?っていうことでいいかなって。今回、いちばん大事な考え方を掴めた気がする。だけど、それってたぶん自分たちの中にないものを無理やり出そうとするとだめになる。俺らは北海道の稚内っていう小さな港町で育って。そういうところで育った音楽しかできないっていうか。自分たちの身から出る音とかイメージを大事にしていきたいなっていう。尾崎家に生まれて、父ちゃんボンジョヴィとかTOTOとか聴いてて、仁司の父さんはフォーク聴いてて、それを自然に出したいなと思ったっていうか。一時期はダンスロックをやりたかったけど、そう考えたときにダンスロックじゃないと思って。別にクラブ行って踊るタイプでもないし、まずクラブ行かないし」

佐孝「行ったことないし(笑)」

雄貴「その時点でクラブミュージックはリアルじゃないから。だから今回のアルバムってチルウェーブみたいにしました、みたいなことはやってないです。もちろん、出来るんですよ。出来るけどやらないっていうのを選ぶことが、今回楽しかった。邦ロックを聴く人たちの範疇を越えないように、ちゃんと作りたかったし」

――Youtubeとかのコメントを見ても、こういうの待ってた!みたいな声が多いよね。

雄貴「そうですね。そういう人たちに対していい曲を書いて、いいと思ってもらって、ライブでちゃんと伝えて。で、ガリレオやばいなってさせて。そこからだなと思う。あとは気付いてくれる人は気付いてくれるから、それを待って。ただひたすら音楽と真摯に向き合っていくしかないんだなって。『See More Glass』はすごく明るいしポップな作品になったけど、決意の表れにもなってると思うんです。そういう作品として世に出したいし、そういうふうにツアーもやっていきたいし。今、バンド内がすごくいい状態なんですよ。仁司と歌詞のこととかめっちゃ話すし。ポール・サイモンの曲聴きながら歌詞カード読んで、ここやばいな!か言ってたり」

――今までそういうことはなかったの?

雄貴「うん、そういうプライベートなお互いの心の部分に関係するような話ってあんまりしてこなくて。友達付き合いが長いだけに照れくさい、みたいな。でも今は何を考えてるか知りたいし、それを音に乗せていきたいっていう気持ちがみんなにあるから。すごい話しやすくなった。だから俺も『See More Glass』みたいな邦ロックとしてしっかりやるぞっていう曲を作れたっていうか。その理由をちゃんとふたりとも理解してくれてる。全員が同じタイミングで同じことを思ってたんですよ。俺はすごく誇らしく思うんだけど、足並みも揃っていて、純粋な強い繋がりがあって、こんなに一緒に怒れて悲しめて苦しめて楽しめるメンバーっていないなって。その喜びは今回『See More Glass』を作っていてふつふつと湧き上がってきてたから。だからライブでもこの3人を見せていきたいし、仁司っていうベーシストを見てもらいたいし、和樹ってドラマーを見てもらいたいし、なんか“ただ見てもらいたいだけ”っていうか。今までモヤモヤっとあったいろんな理由付けが全部消えて、今はすごく見てもらいたい。で、売れたいし、目立ちたい」

――潔くて、すごくいいと思います。

雄貴「で、知ってもらいたい、俺らがすげぇってことを。そうなれたのが今自分たちですごく嬉しいんです。ずっと自信のないバンドだったから」

――今回の作品について、和樹くんはどんなふうに感じていますか?

尾崎和樹(Dr.&Cho.)
「今回アルバムの曲を兄ちゃんが弾き語りで作るってなったときにいちばん最初に感じたのが、俺らがバンド始めた頃のフロントマンとして尾崎雄貴の作る曲が純粋に好きな俺と仁司っていう立ち位置にまた立てたことがすごく嬉しくて。だからぜんぜん違和感なかったし、さっき兄ちゃんが言ったように、本当に足並み揃ってるバンドだから。意見も考えも言いやすくなったっていうか。お互いがお互いのやることを再確認できたから、踏み込みやすくなって。だから今回、本当に意味のあるアルバム制作だったと思います」

雄貴「そこは最重要だなって俺も思う。この数か月はすごく重要だったなって」

――レコーディングから作品が出来上がるまで、かなり時間が短かったような気がするんだけど。雄貴くんの弾き語りから作るっていう決断をしたのがけっこう最近だったということ?

雄貴「そうですね。もう本当に最近。でも今年入ったあたりからソングライティングっていうものをちゃんと考えようっていうのはあって。それはクリスとの制作の中で思ったことなんだけど、一緒にやってるときにクリスが弾き語りで歌ったりしてて。今の何?って聞くとカバーだったり、とりあえず作ってみたっていう曲だったり。でもアコギと歌の時点でめっちゃいいんですよ。雰囲気もあって。それってソングライターとしてすごく重要なものだな、果たしてこれを俺は持ってるんだろうか?ってクリスと作業しながらずっと思ってて。クリスの純粋なソングライターとしての魅力とか、エネルギーとかナチュラルさにすごく魅せられていて。それでしばらくツアー回って、札幌に帰ってきて。ポール・サイモンとかそのへんを改めて聴いたときに、またソングライターってすごいなと思って。前はソングライターからソングライターじゃない人になろうとしてた。クリエイターみたいな感じになろうとしてたけど、今はまったく考えてなくて。ソングライターとして自分で歌っていきたいし、自分を表現していきたいし、人に曲を書いたりもしたいし。あと仁司のベースと和樹のドラムを俺のソングライティングに乗せてほしい。今回自分の作った曲にサポートの藤澤(有沙)さんのピアノが乗ったときとか、シンガーソングライターのAimerさんに歌ってもらったとき、すごい嬉しさを感じて。けっこう早めにデビューしてずっとやってきてるから、自分の曲に誰かが携わってくれることの喜びが麻痺してるところもあったと思うんだけど。それと、Bombay Bicycle Clubのジャックくんとの対談も大きかった。本当に目が違ったし、この人は音楽の話しかできないんじゃないかっていうくらい、言葉ひとつひとつに音楽への愛が溢れ出てて。あまりにも眩しすぎて正直苦しいなって気持ちになったこともあったんだけど。今はちゃんと向き合えるし、この日本でソングライターとしてやっていくっていうことを自分の中で見出した気がするから。最近いろいろコラボもやったけど、ちゃんとミュージシャンとしてお話が来ることが増えてきて。それがすごく嬉しい。やっとソングライターとしてボーカリストとして、自己表現がちゃんと出来てる気がして。“あ、いるんだ”って思えたっていうか」



――ただギターを弾いて歌うだけで世界が出来上がるソングライターって実は稀なような気がするんだけど、雄貴くんは初期の頃から特別なソングライターだったと思います。そう言えば、少し前に階段でカバー曲を録っていたでしょう。あれもすごく素敵だった。

雄貴「あれはすごい偶然っていうか。仁司と和樹が出掛けてて誰もいない時間、階段に座って待ってたんですよ。そのとき近くにギターがあったからジャンジャン〜ってやってて。いい感じに音が響いたから、ここで録ってみようかなと思って録音してアップしただけなんで。その頃、ちょうど仁司がニック・ドレイクの『Pink Moon』ってアルバム見つけてきたんだけど、すげぇって衝撃を受けて。歌とギターってこれだけの感情を出せるし、人のいろんな感情を掴み取れるんだなって。あれを聴いて弾き語りをやっていきたいと思ったし、ソロでああいうアコースティックアルバムを出してみたいなと思ったし。そういう人間として仁司や和樹と関わりたいし、そう思ってもらいたいし。雄貴の書く歌詞だったり考えてることだったり、そこに対して俺、ベース弾いていいよって言ってもらえるようにならないと関係がまず成立しないなと思うから。それはニック・ドレイクの音を真似しようっていうんじゃなくて、考え方だったり生き様だったり見せ方とか、そういうことに影響を受けてる。彼だけじゃなくて、いろんなミュージシャンから。アップする写真もそうだし、服装もそうだし。なるべく俺らの自然な感じを出しつつも、生活感は見せちゃいけないなっていうか」

――確かに今回の歌詞も、今までのストーリー性の高いものと比較すると実感がこもってる感じがするんだけど、生活感ではないんだよね。あと、どこの国かも特定できないというか。そこがガリレオの強みだと思う。普通は下町が舞台だったらすごい下町臭がしてくるのに、そういうところがまるでない。

雄貴「今回の歌詞は全部自分に起こった出来事だったり自分が思ってることだけど、別の物語にしていて。何かとの繋がりだったり、いろいろ隠してることもあるから。それを汲み取って楽しんでもらえたらいいなと思います」

――『See More Glass』ってサリンジャー作品に出てくるグラース家の長男の名前でもあるよね。『バナナフィッシュにうってつけの日』にはメインで登場している。

雄貴「そうです。サリンジャーの作品って中学生でも共感できるし、大人になってもわかるし、その感じがさっき言ったロックキッズの頃の俺らが聴いてもいいっていうのとすごいマッチングするなって。そういう引用はポール・サイモンからの影響なんだけど、ちゃんとそこに時代背景があって、調べると繋がるんだけど、直接そのことを歌ってるわけじゃないとか、そういう奥深さが好きで。ちゃんと歌詞にドラマがある感じ。で、そこでサリンジャーを選んだのは、変わっていくことへの単純な不安だったり。馴染めない周りに対してとか、自分はおかしいんじゃないかっていう恐怖だったり。そういう自分が描きたい孤独とサリンジャーの作品がすごくマッチしてたから。あと音楽をもっと文学とかファッションとか、他の文化に繋げていきたいなっていうのがあって。音楽は気高いものであるべきだと俺は思ってるんです。自分はいい歌詞を書いてると思うし、書いていきたいって気持ちもあるし、歌詞は美しいものじゃないといけないっていう美学があるから。『See More Glass』の歌詞は絶対に聴き流してほしくない」

――歌詞もアートワークも本当に素晴らしいと思います。

雄貴「歌詞カードもすごく考えて作ってます。今回はジャケットから歌詞カードから全部意味があるから。意味っていってもパッと説明できるようなものじゃなくて、もっとひとりひとりが気づくような何かを隠してるつもり。そいうのを受け取ってくれる人たちに届けるためにはどうすればいいだろう?っていうことばっかり考えてる。もちろん今もガリレオファンの中にたくさんいるんだけど、そういう人たちが孤独を感じないようにしてあげたいっていうか。わかり合ってるファン同士の間で、もっと話してほしいし。俺らはそういうロックキッズだったし、今もそうだから。そういう人に届けるために今後ずっと動いていくと思う」

――サリンジャー作品の中のシーモアや『フラニーとゾーイー』のフラニーも確かにそういう孤独を持ってる人たちだよね。あと、世俗的なものが耐え難いんだけど自分の中にも自分の俗があって、完全に清らかであるとは言えない。聖性と俗性は同一線上にあるんだっていうことがわかったときがいちばん辛かったんじゃないかなってなんとなく思う。

雄貴「まさにそうですね」

――それと同じようなものを、ガリレオから感じます。

雄貴「俺らって精神的にすごく潔癖症のところがあって。他のバンドマンに対してもそういう純粋さみたいなものを変に求めちゃうところがあるから、友達もそんなに多くないし。『バナナフィッシュ〜』とか『フラニーとゾーイー』を読んだときにめっちゃ衝撃受けたんだけど、あのなんか若い、孤独な潔癖な感じがすごい好きで。ロックって、ある種そこなんじゃないかなって。もともとのロックって気高すぎて、誰にも理解されないものだったと思う。だから俺らが描いてることはけっこうロックだと思うんですよ。ガリレオっていうバンドは自分たちがやってることだったり、見てること、感じてることをすごく真面目に考えてる。そのクソ真面目さにクリスとかは共感して仲良くなってくれたと思うし。クソ真面目であることは俺らにとっては正義になってるっていうか。出来ればそういう人としか関わりたくないし、やっぱり気高くやっていきたい。なんでガリレオなんかがメインストリームにいるんだって思われてもいい。逆にそう言っててほしい。バンドはお互い意識し合うべきだし、影響させ合うべきだと思うし。それぞれが自分の美学を強力にしてくことで、売れたり売れなかったりっていう戦いの場所になってほしいし。美学で勝負していきたい。俺らは矛盾してるし複雑なんだけど、とにかく音楽に対する愛っていう軸は死ぬほどあるから、そこをちゃんと見てもらいたいです」




――今作にもその信念はしっかり息づいてると思います。個人的に『Mrs. Summer』のAメロで聴こえるハープみたいな音がすごく好きで。

雄貴「たぶんハープの音ですね。MIDIのハープにバンジョーの音を重ねてて。MIDIのハープだけだったら完全にMIDIの音だから、そこにバンジョーの生音を足して、本物鳴らしてるみたいにしてるんです。俺らハープ買えないから(笑)」

――全体的に音数は少ないんだけど、所々でとても印象的な音が鳴ってるなって。

雄貴「うん、それがフックっていうか、これ仁司の美学なんだけど、曲には最低でも5、6個フックがないと駄曲だっていう。フックは、例えばギターの1音がすごくかっこいいとか、そこだけめっちゃアメリカっぽいとか、ハーモニーが綺麗だとか、声がちょっと掠れてるとか、何でもいいんですよ。フックがない曲は駄曲だって言われたとき確かにな、と思って。今回の『See More Glass』の隠れルールとして、それはあった」

――なるほど、わかるような気がする。

佐孝「なんかインディーっぽいんだけど、結局残らない曲ってあるじゃないですか。それってグッと掴まれるところがないからなんじゃないかって。そこは気を付けなくちゃいけないところだなと思ったんです」

雄貴「けっこう日本人が洋楽っぽいもの作ったときになりがちな現象なんですよ、そのフックがなくなってしまうっていうのは。でも、どんな曲作ったとしても、仁司がカウントしてくれてる間はたぶん大丈夫。ミックスのときもフックになる音を探そうとしてるから、めっちゃ心強いんです。俺、全体像に集中して、細かいところに気が回らないときとかあるから。仁司が“このタムがドンって鳴ったときにこの楽器と重なってこう聴こえるのがいいからちょっと上げて”とか言ってると、プロデューサーだなと思って。クリスがミックスの現場にいられなかったぶん、ミックスのときは仁司がある意味プロデューサー的なことを担ってくれたなって」

――和樹くんはどういう役割を担っていたの?

和樹「俺は基本、ほとんど歌のことしか考えてないくらいの感じで。ここは俺の弱い部分でもあるんですけど、ドラマーなのにバンドを好きになるときって、まず最初にボーカリストを好きになるクセがあって。歌がすごく気になるから、歌の面でいろいろ言ったりしました。今の歌の兄ちゃんの声が掠れてる感じがよかったから、そこを活かしてほしいとか」

佐孝「今回、歌は全部和樹が録ってるんです。コーラスも含めて」

和樹「コーラス、めっちゃいい!」

――ほとんどの曲にビーチボーイズ風のコーラスが入ってるよね。

和樹「はい、それはクリスから超影響受けてて、ハーモニーを重視しました」

――コーラスは誰が歌っているの?

雄貴「基本、俺がやってます。ときどき、いっぱい人が歌ってるふうにしたいところでは仁司と和樹にも入ってもらって」

佐孝「ギャングボーカルっていうらしいです、クリスが言うには(笑)」

雄貴「今後コーラスはすごい意識するから、このふたりには俺の鬼の特訓が待ってる!」

――和樹くんはずっとドラム&コーラスって自己紹介してるもんね。

和樹「毎回ラジオとかでそう言っちゃうんだけど、実はコーラスほとんどやってないっていう(笑)。でも、これからはがんばります!」



――歌と言えば今回雄貴くんの歌い方がかなり変化して、幅広くなってますね。歌うことがすごく気持ち良さそう。

雄貴「そうですね。『PORTAL』の頃は声は楽器のひとつなんです、みたいなことを言ってたんだけど、それはめちゃめちゃ歌上手い人が言っていいことっていうか。どんなに声がいいって言われれる人でもいらない部分っていうのがあるし、試行錯誤して自分に合った歌い方を見出していくものだと思うんだけど。それを去年くらいから意識してやってます。途端に歌いいねって言われるようになって。あと菅野よう子さんとかKzくんとかとボーカリストとしてコラボしたときに、至らなかった部分があって、けっこう悔しかったから。帰ってきてはいろいろ歌ってみたりして。今は歌に関してはすごく自信があるし、もっと良くなるっていう予感もしてます。アジア人の声はローが少なくて、倍音も少ないから、どうしてもキンキンした声になっちゃう。サウンドが攻めれないことのひとつに歌を入れたときに歌が弱くなるっていうのがあって。だからサウンドも少し弱めにミックスされるんですよ。そういうジレンマがいっぱいあるんだけど、それは向かい合っていかなきゃいけない」

和樹「ドラマーもそうです。黒人のほうが筋肉が柔らかくて、いくら筋肉ついても固くならないんだけど、日本人は筋肉つくと固くなっていっちゃうから。で、どんどん悪くなっちゃう。そこをどうするかっていうのを考えるようになって、初めてプレイヤーになれるのかなって。日本人だし、日本人っぽくていいじゃんっていうのは逃げだから」

――すごく頼もしいです。『バナナフィッシュの浜辺と黒い虹』も印象的な曲。Aimerさんのボーカルに少年っぽさと少しやさぐれた感じがあって、でもキュートで。あと女の子の気分をここまで雄貴くんがリアルに言葉にしてるっていうのが衝撃的だった。

雄貴「たぶん妹がふたりいるっていうのはあると思う。あと稚内っていう町は看護婦になる人が多いんだけど、その町に縛られそうになってる子とかもけっこういて。それでOKって言ってる人もいれば、ちょっと不安がってる人もいて。学生の頃あんまり女の子と話せなかったけど、そういう女の子の変な奥深さみたいなものが俺はすごく好きだったし、見てて楽しかったから、それを今回歌詞にして。で、Aimerさんに札幌まで来てもらっていつものスタジオで録ったんです。ディレクションも俺がやって。スタジオに来たときはAimerさん普通の可愛らしい女の子っていう感じなんだけど、ブースに入って歌った途端目の前に自分が描いた、自分の想像でしかなかったキャラクターの女の子がそこで歌ってるかのような感覚に陥って。最高の気分だった」

――そこで、みるみる立体になっていく感じ?

雄貴「うん、今まで自分の中で平面のイメージだったものがリアルになる感じ。その感覚を今回Aimerさんとコラボして初めて体験出来て。けっこう味しめたっていうか(笑)。自分が作った曲をいろんな人に歌ってもらいたいなって。Aimerさんは自分の声をうまくコントロールするセンスがあるし、自分の声をわかってる感じがあって。自分の音源のときはたぶんキュートな部分を抑えて、もうちょっと音に溶け込んだ壮大なボーカルに聴こえるように意識して歌ってるんじゃないかなと思うんだけど。最初に『バナナフィッシュ〜』を歌ったときは少しその感じがあったんですよ。だけど、“もうちょっと自分の女の子らしさだったり若さだったり、そういうのをセーブしないで歌ってみてください”っていうふうディレクションして。そしたらもう急にキャラクターになってた」

――きっとAimerさんも嬉しかっただろうね。

雄貴「すごい楽しそうでした。物腰は柔らかいんだけど、ちゃんと軸っていうかプライドがあったから。それを持ってて、ここまでの歌を歌える人に自分の曲を歌ってもらってるっていうのがすごい嬉しかった。ボーカリストとして俺の声って今後もめっちゃ渋くはならないだろうし、海外も含めて言うと声の帯域としては女の人のほうが近いと思っていて。だから女性のボーカリストを参考にすることもあって。今回Aimerさんの歌い方にはかなり影響を受けました。ビブラートのかけ方とか、声のすぼめ方とか。そうすることで、リズムのノリがすごく良くなったりしたし。そういうふうに最近、本当にいろんなミュージシャンから影響を受けてますね」

――そういうところを意識して聴くのも楽しそう。ラストの『親愛なるきみへ』は、すごく構成のおもしろい曲ですね。

雄貴「この曲だけは和樹がイントロのシンセを作ってて、そこに俺が歌を乗せてっていうふうに作ったんだけど、特別そうしたいって意識があったわけじゃなくて。最初はちょっとピンとこなかったんですね。で、和樹の作った音を一回クリスに投げたら、クリスがトランペットみたいな音でフレーズを入れてきて。そのフレーズが入って、やべぇってなって」

――フックがいっぱいあるよね、あの曲には。

雄貴「そう、いっぱいあります。フックになるフレーズが1個あると、そこからそのフレーズのカウンターみたいなメロディだったりを出していけば、ガーッと見つかるんですよ。そう、ジャックくんと話したときに、“曲作りはクエスチョンとアンサーなんだ”って言っていて。“民謡とかむかしのフォークソング、子守唄とかにもあって、それを僕は発見してずっと考えてるんだ”って。問いかけのメロディがあったら、それに対して返答のメロディっていう構成で曲を考えてるっていう話で。その意味がやっとなんとなくわかるようになってきたんですよ。俺の予想だけど、たぶん前編のメロディと後編のメロディがくっついたときにちゃんとコードになってるんじゃないかなっていう。洋楽の基本はAメロの前半のメロディと後半のメロディをくっつけたときハモってる、っていうことを言いたかったんじゃないかなって解釈してて。そういうふうに考えてもう一回ボンベイの曲をキーボードとかで弾いたときに確かにそうなってて、有言実行じゃん!と思って。俺らも今回そのへんはすごい意識して作ってます。それを今後もっとマスターしていきたい。フォークソングとかカントリーみたいなのも取り入れたいと思ってるし。ルーツ感を大事にして、もっと古典的なこともできるようになりたい。今自分たちに対しては何の不安もないんです。自分たちの至らないところや、自分たちが言ってブーメランになってるところもちゃんと理解してるから。本当の意味でフラットな状態なんじゃないかなって。もうすぐツアーも始まるし、フルアルバムに向けて動いていくと思うんだけど。今日言ったことは有言実行でやると思います」


Photo:青柳 唯

Galileo Galilei(ガリレオ・ガリレイ)
’07年、稚内にて結成。’08年、「閃光ライオット」で初代グランプリを獲得し、’10年2月、ミニアルバム『ハマナスの花』でメジャーデビュー。’13年10月、POP ETCのクリストファー・チュウとの共同プロデュースによる3rdアルバム『ALARMS』を発表し、話題に。’14年10月1日、前作に引き続きクリストファー・チュウとの共同プロデュースで、上質なポップミュージックが詰まったミニアルバム『See More Glass』をリリース。

『See More Glass』
now on sale


【初回生産限定盤CD+DVD】
SECL-1594〜SECL-1595
¥1,852
・三方背スリーブケース
・'14年2月に行われた渋谷公会堂ワンマンライブ映像収録DVD付

【通常盤 CD】
SECL-1596
¥1,435

<CD>
1. サニーデイハッピーエンド
2. Mrs. Summer
3. バナナフィッシュの浜辺と黒い虹 with Aimer
4. 山賊と渡り鳥のうた
5. プレイ!
6. ブリキと銀とウォルナット
7. 親愛なるきみへ

<DVD>
1. 老人と海 -Live at 渋谷公会堂-
2. サークルゲーム -Live at 渋谷公会堂-
3. 青い栞 -Live at 渋谷公会堂-


◆Galileo Galilei "landing balloon tour" 2014

2014.11.09(Sun)
OPEN 17:30  START 18:00
会場:cube garden(札幌市中央区北2条東3丁目2-5)
料金:adv. ¥ 3,240/day. ¥3,500(1ドリンク¥500別途)※入場整理号付き
出演:Galileo Galilei
問:マウントアライブ 011-211-5600
ローソンチケット L-CODE:19550(発売中)











http://galileogalilei.jp/
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