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青柳唯「いつもと違うものが撮れたときは、挑戦するタイミング」


YouTubeで大人気の『猫のデュフィ』。やんちゃでツンデレなシャム柄の雑種猫デュフィと真面目な理論派だけど猫には甘々な飼い主・青柳唯さんの日常は、愛情とユーモアに溢れていて、これまでのペット系チャンネルとは一味違うクセになる味わい。それはミュージシャンでもある青柳さんと相方の竹田さんが、セリフや効果音、音楽、編集に至るまで、“作品”としてこだわって作り出しているから。動画では語りきれない、さまざまについての強い意志を青柳さんが語ります。

――デュフィは本当に表情や感情の豊かな猫ですね。

「そうですね。やんちゃで甘えん坊で好奇心旺盛で。リアクションが大きいし、意思表示もはっきりしてるので、動画のセリフを付けやすいです。たまに暴れすぎて心配なときもあるけど(笑)」

――地元近くの保健所から引き取ったそうですが、どういった経緯でデュフィを知ったんですか?

「保健所から引き取ったのは、殺処分を減らしたいっていう意識が強かったわけじゃなくて。わざわざペットショップで買う必要もないし、引き取るなら保健所かなって自然に思ってました。それでホームページで保健所が預かってる動物情報をチェックしてたんですけど、地元にはそのとき猫はいなくて。隣の市の保健所に4匹いるって情報があるタイミングで載ったんで、兄と姉と一緒に会いに行ったんです」

――最初からデュフィに決めていた?

「いや、シャムはないなと思ってました(笑)。4匹は兄妹で、シャム系のデュフィと三毛猫、キジトラだったかな? 全員柄が違ったんですよ。柄ごとの性格の傾向を事前に調べたら、シャムは元気いっぱいでいたずら好きって書いてあったんで、猫初心者にはむずかしいかなと思って。癒されたかったし。でも、実際見てみたら全員可愛いし、めちゃめちゃビビってる子、元気良すぎる子とか個性があって。けっこう悩んだんですけど、デュフィが他の兄妹をグルーミングしてるのを見て、こいつ、いい奴だなって思ったのが決め手になりました」

――そこから、なぜ猫のユーチューバーに?

「猫を飼いたくても飼えなかったとき、猫のYouTubeをめっちゃ観て紛らわしていたんで、自分と同じような状況の人に楽しんでもらえたらなと。あと猫を飼うって覚悟ができたとき、これ(YouTube)俺もできるんじゃないか?って。それまでに多少映像を作ったこともあったし。お笑いが好きなんで、もっと笑いの要素を入れたりストーリーを作ったり。可愛い猫を普通に撮ってアップするだけじゃなくて、作品としておもしろくしたいなと思ったんです。いろいろリサーチもしましたね。成功してる人はなぜ成功してるんだろうっていうのをたくさん調べて、仮説を立ててGoogle ドキュメントにまとめて。逆に失敗してる人は、なぜ失敗してるんだろうっていうのも調べて考えて。あと、自分の需要も大事にしました。自分を狭いターゲットにして、20代後半から30代くらいの男性で猫飼いたいけど飼えないYouTube観てる人は、どういう動画を観たいんだろうって。ちょっと過去の自分がいちばん喜ぶコンテンツを作ろう、みたいなイメージでしたね」

――動画の編集はどうやって学んだんですか?

「全部独学です。僕はもともとcolor chordってバンドを竹田さん(『猫のデュフィ』を共同運営している竹田良平さん)たちと組んでたんですけど、7、8年くらい前、夜中に竹田さんとふたりでうちにいて。話の流れでミュージックビデオ撮ってみようか!ってことになって。スマホでちょっとしたストーリーのあるものを撮って、朝までに編集もやろうってフリーの編集ソフトをダウンロードして。使い方わからないから調べながら。そこから映像作るの楽しいな!ってなって。それが『コールアンドレスポンス』。やばいですよ、深夜の勢いで作ったやつなんで。それから8本くらい竹田さんとか仲間たちとMV撮って、編集は全部僕がやりました。楽しいが先に立って、これをやりたい! じゃあどうやったらいいんだ? 調べる。を繰り返してきた。兄と電話で情報交換のミーティングみたいなことをやって、実験的にアップしたりもしてました。これをやりたい! 調べる、今もその繰り返しです」



――お兄さんの『野犬のポテ』というYouTubeチャンネルも人気で、『猫のデュフィ』とコラボしたりしてますね。

「そうですね。今も協力し合ってます。兄はフリーランスのデザイナーで早いうちからそれで食えてたんです。僕とは性格が違って。兄は思いついたらパッと始めて要領も良くて、だけど継続するのは苦手。僕は始めるまで時間がかかるけど、始めたらずっと続けられるんですよ。でも要領良くやるのは上手くない。『猫のデュフィ』は5か月くらいかけて登録者1000人になって、そのあとはぐんぐん伸びていったんですけど。それまでの結果の出ない時期に試行錯誤して得たものがあって。それを常に兄と共有してきたんです。その状態で兄が始めたから『ポテ』は登録者数も順調に伸びたんですね。もし逆だったら、こうならなかったかも。兄が先に始めてコツコツやることも、僕があとから要領良くやることもできない。お互いに得意な状況でやれたから、ある程度上手くいったかなっていうのはあります」

――唯くんはアイデアマンだし、人がやらないことに挑戦したり、行動力の人ってイメージだったけど違うんですね。

「違いますね。もともと人見知りで自分から積極的に行けるほうじゃないし。考えて考えて、思い切って行く!やる!みたいな性格です。おもしろいこと考えるのはむかしから好きでした。高校では一応目立つグループにいるんだけど中心人物じゃなくて、アイデアを出すポジション。でも、特に夢もなかったし、授業中は寝てました(笑)。行動的になったのは、color chordのリーダーになったのがきっかけですね。やることがすごくたくさんあって、小さい会社の社長みたいなものだったんで」

――ペット系のユーチューバーでは顔出しが多いほうですよね。

「『猫のデュフィ』を始めたとき、視聴者は猫を見たいんだと思ってたんです。でも実は、猫と人間の絆を見たいんじゃないかっていうのを薄々感じていて。やってるうちにきっとそうだよなって思いが強くなった。飼い主出てくるなよって人もいるのは知ってるけど、その人の姿や声やキャラもわかったほうが、長く愛されるチャンネルになるんじゃないかなっていうのはあります」

――顔出しすることで炎上しやすくなる場合もありますよね。気をつけていることは?

「自分が出るのが楽しくなりすぎたら、視聴者の求めるものとは違うことになっちゃうよなと思っていて。それは編集でも言えることで、編集やテロップで自分が楽しくなりすぎちゃうと良くない。竹田さんにも言ってるんですけど。猫を可愛くおもしろく見せるために編集があるわけだから、手段と目的が逆にならないようにする。そこは意識してます」

――竹田さんとは本当にいいコンビですよね。

「竹田さんは高校の同級生なんですけど、高1で同じクラスになってからずっとバンドを一緒にやってきて。15年くらいの付き合いなのかな。“竹田さん”って呼んでます。さまぁ〜ずがお互いさん付けで呼び合ってるみたいな感じです。竹田さんは僕のことを名前で呼んだことがなくて。あのさ、みたいな(笑)。呼ぶとしたら?を想像できない」


photo:Ryohei Takeda

――いろいろ模索した中で、YouTubeの成功の法則のようなものはわかりましたか?

「基本、新しすぎることはやらないほうがいいってことですね。馴染みがないから。あくまで今までのルールの中でやったほうが成功しやすい。カジサック(梶原雄太)が成功したのはそういうことだと思うんです。他の芸人さんと違って、めちゃめちゃユーチューバーのルールに則ってやってる。でも芸人だから、芸人のゲストをめちゃめちゃ呼べる。ルールの中で自分の強みを最大限に発揮する。それがいいんじゃないかと思ってます」

――唯くんは、時々動画で新しい挑戦をしてますよね。

「そうですね。1本の動画の途中から展開を選べるゲーム性のあるやつとか。限定公開にすることによって、そこのリンクを辿ることでしか動画を観ることができない。だから“あなたへのおすすめ”にも出てこないし、一覧にも出てこないっていうのをやって。あんまり猫の動きのない1時間くらいの動画が撮れて、これどうする?ってなったときにいつも通りやりたくなくて、竹田さんに相談したら東海オンエアこんなのやってたよ、真似してみようかってことになって。素材がいつもと違うものが撮れたときは、挑戦するタイミングかなと。そういうときは積極的に挑戦するようにしてます。自分を飽きさせたくないからっていうのもあるし、観てる人もいつも同じ感じだと飽きちゃうだろうし。そういうのを時々やっていきたい。挑戦すると再生数は下がりがちなんです。でも、10回のうち1回成功すればラッキーと思ってる。もちろん失敗するつもりでやってないけど。安パイ安パイ挑戦、みたいな感じでやっていって。たまに数字が悪くても、みんなが離れていくことはないと思ってるんで」

――ハートが強いなあ。


「僕は感情より理屈で考えるほうなんで。失敗しても、次に成功したらラッキーだし、挑戦しないとそもそも成功も失敗も何もない。理屈でわかっていても怖いとか失敗したくないとかめちゃめちゃあるけど、その感情って挑戦すればするほどおそらく小さくなっていく。失敗したってことはこれはダメ、これはいいかもしれないって仮説を立てられたり。失敗からわかることも多いし。チャレンジの数が増えれば増えるほどチャレンジすることのハードルが低くなるんじゃないかなと思いますね。だから失敗に傷つかないけど、そこからちゃんと学び取ろうとは思ってます」

――フリーランスで生きている人には、特に大事な考え方ですね。

「そうですね。むかしから楽しいと思えない仕事を毎日繰り返すのは嫌だなと思っていて。おもしろいだろうなってことしかやってきてないです。それは自分をすごい人間だと信じてるからじゃなくて、大した人間じゃないと思ってるから。自分を大事にしすぎると動けないし、人目も気になる。僕が大学を卒業した時代は就職率が低かったから、チャレンジしやすかったっていうのもあるかもしれないです。YouTubeで、もっとやりたいことがあるし、音楽は今できていないけど、好きだからやめない。なぜ生きてるかっていうと、幸せになりたくて生きてるんだと思うんです。だからやりたいこと、おもしろそうなことをやったほうがいい。失敗しても行動の原動力になるなら、それもラッキーって思ってます」



インタビューアシスタント:白田智久/武田絵里/盒尭狷瓠併ニ撻▲縫瓠声優専門学校)












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